親の家にタダで住んでいるけど、家賃って払わないでもいいと思うけど・・・これって贈与税の対象になるのかな?

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親の家に子供がタダで住んでいて、いいとは思うのだけど・・・

これって本当は家賃を払わないといけないのでしょうか・・

払わなかったら、家賃分が親からの贈与になって贈与税が本当はかかってしまうのでしょうか?

※鵜戸神社

 

親の家にタダで住むことということ

親の持っている家にタダで子供が住んで、いいんではないかと思うけど、

通常であれば家賃を支払うのに支払ってないことっていいのかな~と

思いながら住んでいる方っていらっしゃるかもしれません。

 

この親の家にタダで子供が住むということは、親と子供の間で「使用貸借」の関係があるということになります。

 

使用貸借とは

「使用貸借」って、「賃貸借」と似ている言葉ですが、内容は違ってきます。

この「使用貸借」とは、お金を払わないで家(家以外でもありえます)に住むということです。

「使用貸借権」は、ある物を賃料を支払わないで使用収益できる権利です。すなわち、土地の賃借権と使用貸借権との区分は、土地を使用収益することについて対価を支払うものかどうかで決まりますので、「土地の使用貸借権」の設定又は譲渡に関する契約書は第1号の2文書(土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書)にはなりません。

地上権、土地の賃借権、使用貸借権の区分|国税庁 (nta.go.jp)

 

親の家に子供がタダで住んで、家賃分が贈与にならないのか?

では、親の家に子供が使用貸借によって住むことで、通常家賃を支払うのに支払っていない、この家賃分が贈与税の対象になるのかどうか・・・

 

相続税法第9条によりますと

第九条 第五条から前条まで及び次節に規定する場合を除くほか、対価を支払わないで、又は著しく低い価額の対価で利益を受けた場合においては、当該利益を受けた時において、当該利益を受けた者が、当該利益を受けた時における当該利益の価額に相当する金額(対価の支払があつた場合には、その価額を控除した金額)を当該利益を受けさせた者から贈与(当該行為が遺言によりなされた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。ただし、当該行為が、当該利益を受ける者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合において、その者の扶養義務者から当該債務の弁済に充てるためになされたものであるときは、その贈与又は遺贈により取得したものとみなされた金額のうちその債務を弁済することが困難である部分の金額については、この限りでない。

通常であれば、タダで住んでいて、住むことによって利益を受けているのであれば、贈与になるよと書かれています。

 

しかし、親の家にタダで住んだからといって、利益を受けている?とは感じないですよね。

そこで、

相続税法基本通達9-10によると

(無利子の金銭貸与等)

9-10 夫と妻、親と子、祖父母と孫等特殊の関係がある者相互間で、無利子の金銭の貸与等があった場合には、それが事実上贈与であるのにかかわらず貸与の形式をとったものであるかどうかについて念査を要するのであるが、これらの特殊関係のある者間において、無償又は無利子で土地、家屋、金銭等の貸与があった場合には、法第9条に規定する利益を受けた場合に該当するものとして取り扱うものとする。ただし、その利益を受ける金額が少額である場合又は課税上弊害がないと認められる場合には、強いてこの取扱いをしなくても妨げないものとする。

第9条《その他の利益の享受》関係|国税庁 (nta.go.jp)

 

親の家に子供がタダで住んだとしても、その利益が少ない場合であったり、課税上問題がないときは、贈与として扱わなくていいよということです。

 

では、親の家に子供がタダで住むということは、利益が少ない場合であったり、課税上問題がないときに該当するのかどうか・・・

それは、

土地の貸し借りが行われる場合に、借り手は地主に対して地代を支払います。
権利金の支払が一般的となっている地域においては、地代のほか権利金などの一時金を借地権設定の対価として支払うのが通例です。しかし、親の土地に子供が家を建てたときに地代や権利金を支払うことは通常ありません。
このように地代も権利金も支払うことなく土地を借りることを土地の使用貸借といいます。
親の土地を使用貸借して子供が家を建てた場合、子供が親から借地権相当額の贈与を受けたことになるのではないかという疑問が生じます。
 しかし、使用貸借による土地を使用する権利の価額はゼロとして取り扱われていますので、この場合、子供が借地権相当額の贈与を受けたとして贈与税が課税されることはありません。
この使用貸借されている土地は、将来親から子供が相続する時に相続税の対象となります。相続税の計算のときのこの土地の価額は、他の人に賃貸している土地ではなく自分が使っている土地として評価されます。つまり、貸宅地としての評価額でなく自用地としての評価額になります。

No.4552 親の土地に子供が家を建てたとき|国税庁 (nta.go.jp)

 

上記のように、親の家に子供がタダで住むということは、0円の価値として扱われますので、子供が利益を受けていていることにはならず、課税上問題とされ、贈与の対象とはなりません。

 

したがって、親の家に子供がタダで住んだとしても、贈与税の心配はしなくていいということです。

 

また大阪地方裁判所判決によりますと

被告は、原告の本件土地に対する使用関係は、無償の地上権の設定によるも
のであると主張するが、その事実を認めるに足る証拠はなく、仮りに被告の主張が、夫婦間の土地使用関係は無償の地上権に基づくものと推定すべきであるとの趣旨であるとして夫婦間の土地の使用関係が当然に地上権を設定するものと解すべき法令上又は理論上の根拠はないのみならず物権である地上権が債権である賃借権等に比し土地使用の目的を達するのにより有利であるからといつて親族間における土地使用の関係が常に地上権を設定するものと認めるのは相当でなく、むしろ、親族間における土地利用が愛情等の特殊なきずなによつて結ばれ、その基礎の上に成立したものであればその間に何等利害関係の対立はないのであるから経済的利害について無色ともいうべき使用貸借が最も適合するというべきであつて地上権のような強力な物権を設定する必要性は毫も存しないといわなければならない。

※TAINS Z053-2382 大阪地方裁判所昭和43年11月25日判決

やっぱり、親の家に子供がタダで住むことは、「経済的利害について無色」=子供が利益を受けているということではなないのですね。

 

 

<参考>

使用貸借に係る土地についての相続税及び贈与税の取扱いについて|国税庁 (nta.go.jp)

親子間の土地の無償使用|国税庁 (nta.go.jp)

 

 

 

【足あと】

昨日「図書館戦争」というビデオを見ました。

アマゾンプライムで無料で見ることができます。

こちらの映画、北九州市がたくさん出てくるんですよ。

おもしろく、楽しかったです。

緑色の丸い屋根の図書館はまさに北九州市の図書館です。

財団法人が所有している図書館で、戦争の舞台となっているところも

北九州市立美術館です。

 

 

 

【昨日のにっこり】

「図書館戦争」の映画が面白かったこと

映画に北九州市が出て来て嬉しかったこと

調べ物にめどがついたこと