12月に売買、1月に登記完了(12月に所有権が移転として)・・・これって固定資産税は誰が払う義務があるのでしょうか?

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去年のうちに売買して、所有権を移転しているのに、

今年支払う分の固定資産税の納付書が届いた・・・

1月1日に所有権はないのに、どうして?

※庭に咲いた芝桜

去年売買した土地や建物の固定資産税を払わないといけないのか?

固定資産税の納付書がそろそろ届く時期だと思います。

固定資産税の納付書と一緒に、固定資産税の対象となった固定資産の内訳が書いてある明細が一緒に送付されています。

こんなのです。市町村によって形式は違います。

その明細の中身を確認すると・・・

「あれ?去年売買したのに、今年分をなんで私が固定資産税を支払うの?」

と思った方はいらっしゃらないでしょうか・・

 

1月1日の所有者に、固定資産税は税金が課されます。

12月に売買して、1月1日には所有権はないはずなのに、なぜ・・

登記が完了したのが、1月。

ということは、1月1日のその対象固定資産の登記名義人は、売主のままになっているはずです。

だからなのです。

 

え~実際は、所有者じゃないのに~

と思われるかもしれませんが、仕方ありません。

「もんく言ってやる~」

と意気込んで市町村に、クレームの電話を入れる前に、ちょっと下記を見てみてください。

 

北九州市のQ&A

そもそも固定資産税を支払う人ってどんな人なのか?

北九州市HP

 

ほんとに、去年土地や建物を売って、今年登記が完了した場合に、売主が固定資産税を支払うの?

 

北九州市Q&A

 

地方税法第341条

法律ではどうなっているのよ!

 

(固定資産税の納税義務者等)

第三百四十三条1 固定資産税は、固定資産の所有者(質権又は百年より永い存続期間の定のある地上権の目的である土地については、その質権者又は地上権者とする。以下固定資産税について同様とする。)に課する。

2 前項の所有者とは、土地又は家屋については、土地登記簿若しくは土地補充課税台帳又は建物登記簿若しくは家屋補充課税台帳に所有者(区分所有に係る家屋については、当該家屋に係る建物の区分所有等に関する法律第二条第二項の区分所有者とする。以下固定資産税について同様とする。)として登記又は登録されている者をいう。この場合において、所有者として登記又は登録されている個人が賦課期日前に死亡しているとき、若しくは所有者として登記又は登録されている法人が同日前に消滅しているとき、又は所有者として登記されている第三百四十八条第一項の者が同日前に所有者でなくなつているときは、同日において当該土地又は家屋を現に所有している者をいうものとする。

3 第一項の所有者とは、償却資産については、償却資産課税台帳に所有者として登録されている者をいう。

4 市町村は、固定資産の所有者の所在が震災、風水害、火災その他の事由によつて不明である場合においては、その使用者を所有者とみなして、これを固定資産課税台帳に登録し、その者に固定資産税を課することができる。

固定資産税第343条1項(途中まで)

 

固定資産税を課税されるのは、登記簿に所有者として登記されている人なのです。

2項の後半に、「~現に所有している者」とありますが、これは、登記簿に登記されている人が、亡くなっていたり、会社がなくなっていたり、国等が所有者でなくなっていたりしたときは、「現に所有している者」に固定資産税が課税されるということをいっています。

だから、12月に売買したから、1月1日に「現に所有しているのは、買主だ!」と主張して、固定資産税を支払わないのは、通用しないということになります。

 

「支払なさい」という裁判例がある

市町村のHPにも書いてあり、法律にも書いてあるけど納得いかないという人には、裁判例もあるのでこれで納得してください。

 

固定資産税等賦課取消請求事件(平成26年9月25日 最高裁判所第一小法廷)

判決文より

土地又は家屋につき,賦課期日の時点において登記簿又は補充課税台帳に登記又は登録がされていない場合において,賦課決定処分時までに賦課期日現在の所有者として登記又は登録されている者は,当該賦課期日に係る年度における固定資産税の納税義務を負うものと解するのが相当である。
なお,土地又は家屋について,賦課期日の時点において登記簿又は補充課税台帳に登記又は登録がされている場合には,これにより所有者として登記又は登録された者は,賦課期日の時点における真の所有者でなくても,また,賦課期日後賦課決定処分時までにその所有権を他に移転したとしても,当該賦課期日に係る年度における固定資産税の納税義務を負うものである。

 

赤字の部分は、「他の人に所有権を移転して、その年の1月1日の時点で所有者でなくても、その年分の固定資産税を支払わなければならない」と書かれています。

 

また、古い裁判例では

固定資産税賦課取消請求( 昭和30年3月23日最高裁判所大法廷)

判決文より

土地の固定資産税は土地の所有者に課せられるけれども、土地所有者とはその年度の初日の属する年の一月一日現在において、土地台帳若しくは土地補充課税台帳に所有者として登録されている者をいい(地方税法三四三条、三五九条)従つてその年の一月一日に所有者として登録されていれば、それだけで固定資産税の納税義務者として法律上確定されるから、四月一日に始まるその年度における納期において土地所有権を有する者であると否とにかかわらず、同年度内は納税義務者にかわりがないことになつている。

 

赤い部分は、「その年の1月1日に所有者として登記簿に登記されている人は、実際に所有権を持っていようといなかろうと関係なく、固定資産税を支払わなければならない」と書かれています。

 

12月に売買したから1月1日に所有権はないんだ!と言ったところで、「払って下さい」と言われるのがわかったのではないかと思います。

早く登記を済ませておけばよかった・・・

 

 

 

【足あと】

税理士試験の時に、固定資産税を受験し、上記の地方税法を暗記したのを思い出しました。

今となれば、懐かしいな~といい思い出です。

 

 

【昨日のにっこり】

サスペンスビデオを見たこと

寝起きがスッキリだったこと

ある間違いに気づいたこと