【院長夫人にかかわる税金の話】 法人契約の「低解約返戻金型逓増定期保険」を解約して、個人へ契約者の変更をしていませんか?  それ医療法に違反してしまいますよ

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院長夫人

保険会社の人から勧められて、「低解約返戻金型逓増定期保険」を法人で契約して、数年後に個人へ名義を変更していませんか?

法人にお金を払ったとしても、医療法に違反してしまいますよ・・

※太宰府天満宮の牛の像

低解約返戻金型逓増定期保険とは・・

定期保険とは、保険期間は一定で、被保険者が保険期間中に死亡した場合に死亡保険金が支払われるものをいいます。

逓増定期保険とは、保険期間の経過により保険金額が増加する定期保険のことです。

低解約返戻金型定期保険とは、定期保険と同様に、保険期間は一定で、被保険者が保険期間中に死亡した場合に死亡保険金が支払われるものをいう。解約返戻金が低い期間を設定するため、保険料が割安になります。

では、低解約返戻金型逓増定期保険とは、保険料を支払っている間は安い保険料で済み、その間、解約して戻ってくるお金は少ないです。死亡保障がある保険期間が終了するときには、解約して戻ってくるお金は0(ゼロ)になります。

契約して数年の間は、解約しても戻ってくるお金が少ないので損をします。しかし、保険料が支払い終わった後に、解約して戻ってくるお金を一番多くもらえるピークがきます。このとき解約すると、払い込んだお金に比べて、戻ってくるお金の割合が大きくなっています。

 

この契約で、解約して戻ってくるお金が少ない時期に

法人→個人へ名義を書き換えるということが節税として行われています。

なぜ節税かというと、保険料のほとんどを法人で支払った後で、個人に名義を書き換えて、解約して戻ってくるお金は個人でもらうからです。

保険を使って、法人のお金を個人に移動させているということです。

 

法人→個人への名義変更をした場合の低解約返戻金型逓増定期保険

課税関係

この保険の名義を法人→個人に変更した場合は、

所得税基本通達36-37により

変更するときに解約したとした場合に戻ってくるお金を、個人から法人へ支払うことにより名義を変更できます。

※所得税基本通達36-37

これにより、個人は少ないお金で、多くのお金をもらうことになるのです。

 

医療法関係

医療法では、具体的に低解約返戻金型逓増定期保険の法人→個人の名義の変更を禁止していません。

しかし、医療法には、

厚生労働省HPより

医療法54条というのがあり、剰余金の配当を禁止しているのです。

この低解約返戻金型逓増定期保険の名義を解約して戻ってくるお金が少ないときに、法人→個人に変更する行為は、配当類似行為とみなされるのです。(厚生労働省に確認してみました)

法人→個人に名義を変更した時点で、その剰余金の配当禁止(医療法54条)に、違反するのです。

 

違反すると、医療法76条3号により、20万円以下の違反金を支払うことになるかもしれません。

 

では、この違反がどうやったら見つかるのか・・

この低解約返戻金型逓増定期保険を解約したときに戻ってくるお金が少ないときに、名義を変更したら、即違反!といって見つかるわけではありません。

保健所が調査したときに見つかるかもしれません。

見つかる可能性が低いですが、違反しているのは事実ですから、低解約返戻金型逓増定期保険の法人→個人の名義の書き換えは止めましょう。

 

 

【足あと】

昨日は、久しぶりにヨガのレッスンに行きました。

先生と一緒にするヨガは、気持ちよくてすっきりします。

自分でするのもいいですが、ときどき先生に見てもらうのは、自分の形を修正してもらえて、勉強になります。

 

【昨日のにっこり】

ヨガレッスンを受けたこと

ポテトサラダがおいしくできたこと

診療所の経理が片付いたこと