親の家に子供がタダで住んで、その一部を他人に貸したとき、その家賃収入を子供の収入にすることはできるのか・・・

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親の家にタダで住んでいて、その一部を他人に貸したとき、

家賃収入があるけれど、親の収入にすると親の税金が増えるから収入の少ない子供の収入にしとこっと・・・ってそんなことできるのでしょうか?

※国見岩からみた北九州市の街

 

親の家にタダで子供が住んだとき

親の家にタダで子供が住んだ場合は、下記の記事のように税金の面において、特に問題はありません。

 

親の家にタダで住んでいるけど、家賃って払わないでもいいと思うけど・・・これって贈与税の対象になるのかな?

 

他人との契約を子供の名義でした場合

上記のように、親の家にタダで住んだとしても、贈与税の心配もなく、税金がかかるようなことはありません。

だったら、使わない家の一部を他人に貸して、タダで住んでいる子供の名義で契約して、子供の名義口座に家賃を入金してもらって、その家賃収入は親がこっそりもらって・・・って、できるんじゃないの?と思われるかたもいらっしゃるかもしれません。

親の収入がある程度ある場合、家賃収入があると税金も高くなります。それだったら収入が少ない子供の家賃収入として確定申告すれば、問題ないと思われるかも知れません。

 

しかし、実際の家賃収入が親がもらっていて、名義上子供の名義にしている場合は、それはできません。

 

所得税法12条

所得税法12条によると

(実質所得者課税の原則)
第十二条 資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であつて、その収益を享受せず、その者以外の者がその収益を享受する場合には、その収益は、これを享受する者に帰属するものとして、この法律の規定を適用する。

 

また

神戸地方裁判所平成21年(行ウ)第46号異議決定書取消請求事件では、

(tains Z260-11462)

 

所得税法12条は、「資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であって、その収益を享受せず、その者以外の者がその収益を享受する場合には、その収益は、これを享受する者に帰属するものとして、この法律の規定を適用する。」と定めている。同条は、収益の経済的な帰属者ではなく、収益の真実の法律上の帰属者に所得税法を適用すべきことを定めたものと解するのが相当である。
とされています。
とうことは、契約したのが子供であっても、実際に家賃収入をもらっているのは親であった場合は、契約の名義が子供であっても、親の家賃収入として確定申告をしなければならないことになります。

家賃の振込口座を子供にした場合

いやいや・・・
家賃の振込口座が子供になっていて、子供の名義の口座に家賃が入ってきているんだから、子供の家賃収入でしょ、と言われるかもしれません。
しかし、家賃の振込口座が子供になっていても、それは形式的なもの。
それを理由として、「子供の家賃収入です」と言うことはできないのです。
(1)ウで認定したとおり(今回の場合であれば、実際の貸し主は親であると認定されたこと)原告がCとの間で賃料振込先をAの口座と指定して賃貸借契約を締結したため、賃料がAの口座に振り込まれているにすぎず、このことからAが本件賃料を収受していると認めることはできない。
神戸地方裁判所平成21年(行ウ)第46号異議決定書取消請求事件(tains Z260-11462)
会社に家賃収入があることがバレたくないから、夫の家賃収入を妻の家賃収入とした場合も同じようなことが言えます。
形式だけ整えても、実際に家賃収入があるのであれば、その形式は認められないことになります。
「実質所得者課税だから契約書があれば大丈夫ですよ!」なんて、言われても「本当かな?」とちょっと気にしてみてください。
<参考>
12-1 法第12条の適用上、資産から生ずる収益を享受する者がだれであるかは、その収益の基因となる資産の真実の権利者がだれであるかにより判定すべきであるが、それが明らかでない場合には、その資産の名義者が真実の権利者であるものと推定する。
12-2 事業から生ずる収益を享受する者がだれであるかは、その事業を経営していると認められる者(以下12-5までにおいて「事業主」という。)がだれであるかにより判定するものとする。
 所得税法12条は、①資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であって、②その収益を享受せず、その者以外の者がその収益を享受する場合には、その収益は、これを享受する者に帰属するものとして、この法律の規定を適用する旨規定している。同条は、課税物件の法律上(私法上)の帰属につき、その形式と実質が相違している場合には、実質に即して帰属を判定すべきとする趣旨のものであると解される。
 本件賃貸用アパートは原告が所有するものであって、その使用収益に係る業務も原告自身が行っていたことからすると、不動産賃貸借契約書上においては原告の妻が賃貸人であるという形式が採られていたとしても、その実質を伴わない状況にあったといわざるを得ない。そして、このことに加え、原告と妻において、使用貸借契約書を作成し、原告の妻を賃貸人の名義とする不動産賃貸借契約書を作成することになった契機は、原告がF及びGマンションを取得し、その賃料収入を自己の所得とすれば兼業規制(国家公務員法)に抵触することとなることを強く意識したことにあるという点をも勘案すると、マンション等に係る不動産賃貸借契約書又は使用貸借契約書上において、形式上、貸室から「生ずる収益の法律上帰属するとみられる者」に当たると認められる原告の妻は、真に不動産賃貸人たる地位にある者ではなく、「単なる名義人」であるというべきである。
※東京地方裁判所平成27年(行ウ)第〇〇号青色申告承認取消処分取消等請求事件(tains Z268-13113)
【足あと】
昨日は、夕食に親子丼と焼き魚と味噌汁でした。
なんてない夕食なのですが、食卓についた息子が
「やったー 美味しそう~」
ともぐもぐ食べてくれました。
作った食事に対して、喜んでもらえるということは、嬉しいな~と
改めて感じたのでありました。
【昨日のにっこり】
息子が夕食を喜んでくれたこと
申告を終わられたこと
新しいことがわかったこと